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随時報告(平成18年) | 国会及び内閣に対する報告(随時報告) | 検査結果 | 会計検査院 Board of Audit of Japan

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全文

(1)

関西国際空港の経営において、長期有利子債務の確実な償還

を図り、安定的な経営基盤を確立するため、経営改善に努め

ることが必要な事態についての報告書(要旨)

1

8

1

0

(2)

事業の概要

( 1) 関西国際空港株式会社の概要等

関西国際空港株式会社(以下「関空会社」という。)は、関西国際空港(平成6年9月 開港。以下「関西空港」という。)の設置及び管理を効率的に行うことなどを目的とし て、昭和59年10月に設立されており、関空会社に対する国の出資額は、平成17年度末現 在の同会社の資本金7885億円のうちおおむね3分の2に当たる5233億円に上っている。

関空会社では、昭和59年7月に運輸大臣が策定した基本計画に基づき、1期事業として 大阪湾泉州沖に空港島(約510ha)を造成して滑走路1本(3500m)と当面開港に必要な 年間発着回数12万回に対応する施設を整備し、その後、更に発着回数16万回に対応する 機能利便施設、エプロン等を整備してきている。

また、2期事業については、空港施設の整備主体と用地造成の整備主体とを分離した 「上下主体分離方式」で行うこととされており、施設整備は関空会社が、用地造成は関 西国際空港用地造成株式会社(以下「用地造成会社」という。)がそれぞれ事業主体と なり、平成8年度に事業に着手している。

そして、関空会社が12年度までに執行した1期事業の事業費は、1兆5454億円に上って おり、また、12年度までに関空会社及び用地造成会社が執行した2期事業の事業費は、用 地造成費2883億円、施設整備費49億円、計2933億円(8∼12年度)となっていた。 ( 2) 平成12年度決算検査報告

会計検査院では、平成12年度決算検査報告において、関空会社の経営状況について、 関西空港の利用実績が需要予測を下回っていること、関空会社の経営成績が予測を下回 っていて、単年度黒字化の経営上の目標が達成できていないことなどから、関西空港の 需要予測及び関空会社の経営予測について、関空会社において、今後なお一層の精度向 上を図ることなどが望まれる旨を特定検査対象に関する検査状況として掲記した。 ( 3) 関西空港に関する財務大臣と国土交通大臣の合意

(3)

っていて、累積損失額は14年度末で2068億円と多額に上っていた。

このような状況等を踏まえ、14年12月に、関空会社において15年度から3箇年を経営改 善集中期間とする経営改善計画を策定し、これを着実に実施すること、また、国におい て関空会社の安定的な経営基盤を確立し、有利子債務の確実な償還を期すため、新たな 補給金制度を創設し、毎年度の予算の範囲で継続的に措置することなどが財務大臣と国 土交通大臣との間で合意された。この合意に基づき、関空会社では、15年3月に策定、公 表した経営改善計画による経費削減等に努めてきており、国では、15年度から毎年度90 億円の政府補給金を交付している。

また、2期事業の施設整備については、16年12月の財務大臣と国土交通大臣の合意にお いて、2本目の滑走路を供用するために必要不可欠なものに限定して行うこと(以下「限 定供用」という。)とされている。

検査の結果

( 1) 経営改善計画の達成状況等 ア 運営経費の削減について

経営改善計画では、人件費6億円、その他の経費24億円、計30億円の運営経費の削減 を目標としていたが、これに対する実績としては、3年間の累計で49億円(人件費7億 円、その他の経費42億円)が削減されていた。

イ 収入の増大について

経営改善計画では、収入の増大については、具体的な数値目標は示されていないこ とから、経営改善集中期間中の傾向を分析したり、当該期間前の収入額と17年度の収 入額を比較したりしたところ、経営改善集中期間については増収傾向となっているも のの、17年度の収入額は当該期間前の水準には達していなかった。

ウ 経営改善計画を踏まえた収支見通しの達成見込みについて

関空会社では、経営改善計画を踏まえた収支見通しとして、遅くとも17年度までに 単年度経常黒字を達成することとし、また、経営改善集中期間終了後の18年度の収支 見通しとして、営業収益1307億円、営業利益389億円及び経常利益238億円を見込んで いる。

(4)

実績と経営改善集中期間終了後の18年度の収支見通しにおける見込額を比較すると、 図1のとおり、営業収益については280億円、営業利益については175億円、経常利益に ついては154億円をそれぞれ上積みする必要があり、目標の達成は困難な状況となって いた。

関空会社では、このように経営改善集中期間終了後の18年度の収支見通しの達成が 困難な状況となっているのは、15年に勃発したイラク戦争、同年にアジアを中心に発 生したSARS(重症急性呼吸器症候群)等の影響により、航空機発着回数等の実績 が収支見通しの前提となっている国土交通省が14年に公表した需要予測(以下「14年 予測」という。)を大幅に下回っていることによるとしている。

そして、関空会社では、経営改善集中期間終了後の18年度の収支見通しの達成が困 難な状況になったことなどから、18年4月に公表した「関空新中期計画」(以下「新中 期計画」という。)においては、18年度の業績目標を、営業収益1067億円、営業利益 240億円、経常利益110億円と下方修正し、また、20年度の業績目標を営業収益1153億 円、営業利益206億円、経常利益82億円としている(図1参照)。

図1 17年度実績、18年度収支見通し及び新中期計画の対比

( 2) 長期有利子債務残高と補給金制度 ア 長期債務の状況

関空会社の長期債務残高は、1期事業の事業費が多額となったことなどから、開港時

1, 307 389 238 240 110 206 82 84 214 1, 027 1, 067 1, 153 0 200 400 600 800 1, 000 1, 200 1, 400

営業収益 営業利益 経常利益 億円

17年 度 実 績

18年 度 収 支 見 通 し

新 中 期 計 画

18年 度 業 績 目 標

20年 度 業 績 目 標 280

175

(5)

から、1兆円を超える多額なものとなっている。17年度末における長期債務残高計1兆 2430億円のうち、有利子債務残高は1兆0052億円(うち有利子借入金2325億円、社債7 726億円)に上っていた。

一般に、企業の債務返済能力をみる指標として、「負債/EBITDA倍率」が用 イービットディーエー( 注)

いられるが、成田会社では、同社の中期経営計画目標の一つとして、健全な財務体質 の確保を目指す観点から同倍率が10倍を超えないようにすることを掲げている。これ に対して、関空会社における同倍率を試算すると、図2のとおり、2期工事が継続中で あることなどから、12年度の18. 5倍から17年度には25. 5倍と増加しており、これを成 田会社の数値7. 9倍と比較すると17年度においては、約3倍の値となっている。

(注) 負債/EBITDA倍率 負債をEBITDA(Ear ni ngs Bef or e I nt er es t , Taxes , Depr ec i at i on and Amor t i z at i onの略。利払前、税引前、 償却前利益。企業の営業活動から生じたキャッシュフローを表す。) で除した指数。営業活動から生じたキャッシュフローの何倍の負債を 有するかを示す。

図2 負債/EBITDA倍率比較

今後の年度別の長期債務の要償還額のうち、有利子債務については、19年度に償還 のピークを迎え、同年度に2715億円償還する必要がある。また、20年度から22年度ま での間については、毎年度895億円から1144億円程度を償還する必要がある。このため、 これらの償還時期に応じて、財投機関債の発行等による多額の資金調達が必要となる。 イ 補給金制度導入による長期有利子債務残高の推移等

国土交通省では、14年度に補給金制度を創設する際に、航空需要の伸び率が14年予 測の伸び率を50%下回るなど関空会社の経営が悪化しても、国が毎年度90億円の補給 金を30年間にわたり交付した場合の、長期有利子債務残高(用地造成会社分を含

25.5 24.4 27.0 22.6 21.0 18.5 19.4 18.1 17.4 18.7 21.0 35.8

8.0 7.6 8.0 7.9

9.2 7.4 7.9 8.9 8.8 7.9 8.2 7.4 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0

6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 年度

関空会社

成田会社

成田会社目

(6)

む。)の毎年度の推移について試算している。

そして、この試算では、補給金制度導入後の16、17両年度における長期有利子債務 の減少額を、それぞれ312億円、333億円としているが、実際の長期有利子債務の減少 額についてみると、16年度は206億円、17年度は167億円にとどまっており、16年度は 105億円、17年度は165億円、それぞれ上記の試算額を下回っていた(図3参照)。

また、新中期計画で示されている前記業績目標に基づき、長期有利子債務の減少額 を会計検査院において試算すると、図3のとおり、18年度から20年度までの間の減少額 は495億円となり、国土交通省が試算した減少額1024億円を529億円下回ることになる。 図3 長期有利子債務の減少額

このように、政府補給金は、長期有利子債務の確実な償還を期すために措置されて いるものであるが、航空機発着回数等の実績が補給金算定の前提となっている14年予 測を下回っており、収入額の実績も補給金制度創設時の見込みを下回っていることか ら、長期有利子債務の減少額は試算額を下回っている状況となっている。

そして、関空会社では、15年3月の経営改善計画公表時には、14年予測に基づく需要 の伸びに応じた関空会社の有利子債務の完済目標年度を39年度としていたが、18年4月 の新中期計画公表時においては、有利子債務完済目標年度を示していない。関空会社 では、有利子債務の償還計画について、2期事業のうち先送りした施設の整備時期等と 併せて慎重に検討中であるとしている。

( 3) その他の固定的な費用等

関空会社においては、固定的な費用として、上記の長期有利子債務に係る支払利息の 負担のほか、減価償却費並びに固定資産税及び都市計画税が毎年度多額に上っており、 また、今後、2期事業の施設供用に伴う新たな費用負担等も見込まれている状況であった。

312 333

1,024

4 9 5 1 6 7

2 0 6

0 200 400 600 800 1,000 1,200

16年度 17年度 18年度から20年度

億円

(7)

所見

関西空港は、6年に開港して以降、伊丹空港の騒音問題の根本的な解消や航空輸送の円 滑化を図り、航空の総合的な発達に資するとともに、我が国の産業、観光等の国際競争 力の強化に寄与してきた。そして、関空会社においては、国が定めた基本計画に基づき、 我が国を代表する国際空港としてあるべき2本の滑走路を備えるものとし、19年8月の限 定供用を目指して工事を実施しているところである。一方、1期事業の事業費が、旅客サ ービスレベルの向上や想定し得ない現場条件への対応等から多額に上ったことなどのた め、関空会社においては、開港当初から約1兆円の長期有利子債務があり、これに係る支 払利息の負担等により累積損失が多額に上っている状況にあった。

このようなことから、国は、厳しい財政状況の中で、関空会社の特殊会社としての経 営形態を維持しつつ、将来の完全民営化に向けて安定的な経営基盤を確立するため、14 年の財務大臣と国土交通大臣の合意により、関空会社の経営改善を進め、長期有利子債 務の確実な償還を期すための補給金制度を創設して、15年度から継続して政府補給金を 交付している。また、関空会社では、上記の合意を踏まえ、15年度から17年度までの3箇 年を経営改善集中期間とする経営改善計画において、人件費、業務委託費等の運営経費 の削減や収入の増加を図るなどの経営改善に努めてきた。

しかし、経営改善集中期間終了後の18年度の収支見通しについては、目標の達成は困 難な状況となっている。これについて関空会社では、イラク戦争、SARSの影響等による としている。また、19年の2本目の滑走路の限定供用に係る2期事業の施設整備等による 費用負担増が見込まれている。

そして、補給金制度導入後の16、17両年度における長期有利子債務の減少額について は、国土交通省が制度導入時に試算した減少額を下回っている状況であり、また、関空 会社が18年4月に公表した新中期計画の業績目標に基づく長期有利子債務の減少額も国土 交通省の予測を下回ることが見込まれる。

したがって、関空会社においては、国の財政が厳しい状況の中で政府補給金が継続し て交付されていることに十分留意して、次のような方策を講ずるなどして、長期有利子 債務の確実な償還を図り、もって政府補給金等に頼る必要のない安定的な経営基盤を確 立することが必要である。

(8)

確実な償還に努めること

イ 新中期計画に基づき、経費の削減に努めるとともに、地方公共団体、地元経済界と の連携を図りつつ、新規需要の開拓等により収入の増加を図るなど、引き続き経営改 善に努めること

参照

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